寝違えたのに、手に鍼をする?
2026/09/17
※画像はイメージです。
普段、頭痛などで来られている患者さんがいます。
この日、最初に調子を聞いてみると、
「昨日と一昨日は頭痛がなかったんです。でも今朝起きたら、首が痛くなっていて……」
とのこと。
それを聞いて私は、
「じゃあ、ちょうど良かったですね(笑)」
と言うと、
患者さんも「はい(笑)」。
ということで、この日は寝違えた首も一緒に見ていくことになりました。
実際に首を動かしてもらうと、左右ともに痛みがあり、特に上を向くと痛い。
さらに首から左の肩甲骨の内側あたりまで、痛みが広がっていました。
まずは身体全体を見ていく
最初に身体の状態を確認して、手足や首、頭などに鍼をしました。
ここで痛みは半分くらいまで軽くなりました。
ただ、まだ首の動きには硬さが残っています。
さらに身体を見ていくと、首のすぐ下にある胸椎の動きも硬くなっていました。
そこで胸椎にも少し動きをつけていきます。
これでさらに楽になりましたが、まだ少し痛みが残っていました。
そこで最後の仕上げに使ったのが、手の甲にある「落枕(らくちん)」というツボです。
「落枕」という名前のツボ
「落枕」と書いて「らくちん」。
寝違えなどの首の痛みに、昔から使われてきたツボの一つです。
面白いのは、首ではなく手の甲にあること。
私はこのツボだけで寝違えが根本的に治るとは考えていません。
ぎっくり腰のときに使う「腰痛点」というツボもそうですが、ひと通り身体を見て施術をしたあと、それでも痛みが少し残っているときに、最後の仕上げとして使うことがあります。
「え、なんで? なんで?」
落枕に鍼をした状態で、首をゆっくり左右に動かしてもらいました。
すると、少しずつ首が大きく回るようになってきました。
患者さんは、
「え、なんで? なんで?」
と、とても不思議そう。
さらに首を動かしながら、
「すごーい」
と驚かれていました。
患者さんにとっては、首が痛いのに手に鍼をして、首が動きやすくなっていくのが不思議だったのだと思います。
その後、最後に全体を整えて、この日の施術は終了。
最初の痛みを10とすると、最後は2くらいまで楽になっていました。
落枕だけを使うわけではありません
ただ、私は「寝違えには落枕」と単純に考えているわけではありません。
今回も、身体全体を見ながら鍼をして、動きの硬かった胸椎にも動きをつけ、その都度、首の動きや痛みの変化を確認しました。
そのうえで、最後に残った痛みに落枕を使っています。
同じ寝違えでも、身体の状態は一人ひとり違います。
一つのツボですべてを何とかしようとするのではなく、身体の反応を見ながら、そのとき必要な施術を重ねていく。
私にとって落枕は、そんな施術の最後に使うことのある「仕上げのツボ」の一つです。


