なんとなく調子が悪い。これって夏の疲れ?
2026/09/04
まだまだ暑いですが、9月に入って、少しずつ夏の終わりが見えてきました。
この頃になると、森山直太朗さんの「夏の終わり」が頭の中に流れるのは、私だけでしょうか。
「なんとなく身体がだるい」
「身体が重い」
「食欲がない」
「最近、眠りが浅い」
そんな声を聞くことがよくあります。
暑い夏をなんとか乗り切ったはずなのに、少し涼しくなってきた頃になって、どっと疲れを感じる。
そんな経験がある方もいるのではないでしょうか。
施術をして身体を触ってみると、手足だけでなく、お腹や腰まわりまで冷たくなっている方もいます。
では、こうした「夏の疲れ」は、いったいどこから来るのでしょうか。
暑いだけが、夏の負担ではありません
現代の夏は、外に出れば35℃を超えるような暑さ。
一方、建物の中に入れば、冷房が効いて25℃くらいということも珍しくありません。
外と室内で10℃ほどの温度差があることになります。
実際に、異なる温度の部屋を繰り返し移動したときの身体の反応を調べた日本人を対象とした研究があります。
26℃と36℃、21℃と36℃など、温度差のある環境を繰り返し移動したところ、温度差が大きな条件では、自律神経活動を含む生理的な反応や疲労感などに変化がみられました。
ただし、だからといって、
「10℃以上の温度差があると自律神経がおかしくなる」
という単純な話ではありません。
夏の身体のしんどさには、暑さ、睡眠、食事、冷房など、さまざまなことが重なっていると考えた方が自然だと思います。
では、一日中冷房の中にいる人は?
ここで、もう一つ疑問が出てきます。
外と室内の温度差が身体への負担になるのなら、一日のほとんどを冷房の効いた部屋で過ごしている人はどうなのでしょうか。
人の身体には、暑い環境が続くと、その暑さに少しずつ適応していく仕組みがあります。
「暑熱順化」と呼ばれるものです。
暑熱順化については、複数の研究をまとめたシステマティックレビューでも、暑さへの順化によって、発汗量の増加や心拍数の低下、深部体温の上昇が抑えられるなど、身体が暑さに対応していく変化が報告されています。
一方、現代の生活では、一日のほとんどを冷房の効いた室内で過ごすこともできます。
もちろん、冷房を使うことが悪いわけではありません。
今の日本の夏の暑さを考えれば、無理に冷房を我慢する方が危険です。
ただ、一日中快適な温度の中で過ごしていれば、暑さにさらされて汗をかく機会は当然少なくなります。
そして一歩外へ出れば、一気に真夏の暑さにさらされる。
こうした現代ならではの夏の過ごし方も、身体のしんどさを考えるときの一つの要素なのかもしれません。
私は夏になると銭湯へ行きます
私自身は、夏でもときどき身体を温めて、気持ちよく汗をかく時間があった方がいいと感じています。
そのため、夏場も意識して銭湯へ行くようにしています。
そのときに気にしているのが、シャワーを浴びたり湯船に入ったりしたときに、自分の身体がどう感じるかです。
一日中冷房の中で過ごした日などは、お湯の熱が身体に染み込んでくるように気持ちよく感じることがあります。
「ああ、気持ちいいな」
と思いながら温まっていると、
「今日はずいぶん身体を冷やしていたんだな」
と初めて気づく。
反対に、同じようにお湯に入っても、それほど熱を心地よく感じない日もあります。
面白いのは、お風呂に入るまで、自分が冷えていたことに気づいていないことです。
私にとって夏の銭湯は、身体を温めるだけでなく、その日の自分の身体の状態に気づく場所にもなっています。
冷房をやめる必要はありません
だからといって、皆さんに夏場は銭湯へ行きましょう、という話でもありません(笑)
自宅のお風呂でも十分です。
できれば湯船に浸かってみる。
それが面倒な日は、シャワーでも構いません。
少しずつ温度を上げながら、自分が「気持ちいい」と感じる温度のお湯を、首の後ろなど気持ちよく感じるところに当ててみてください。
汗をかいたまま出るのが嫌なら、最後だけ温度を下げてサッと浴びてから出てもいいと思います。
冷房についても、「身体が冷えるから使わない」という必要はありません。
ただ、外へ出た瞬間に、
「暖かくて気持ちいい」
と感じたら、もしかすると少し身体を冷やしすぎていたのかもしれません。
そんなときには設定温度を少し上げてみるなど、自分の身体の感覚に合わせて調整してみてください。
大切なのは、「冷房は身体に悪い」「汗をかかなければいけない」と決めつけることではありません。
今、自分の身体は暑いのか、冷えているのか。
何を心地よく感じているのか。
ときどき、そんな自分の感覚にも目を向けてみてください。
この夏を乗り切った身体を、少しねぎらって
夏の終わりに身体が重いと感じたら、少し休むことも大切です。
そして、
「やりたいことがあるのになかなか手につかない」
「思うように進まない」
「どうもやる気になれない」
という方も、あまり自分を責めないでください。
この暑い夏を乗り切っただけでも、充分がんばっています。
少しくらい身体が休みたがっていても、不思議ではありません。
まずは「今年の夏もよく頑張ったな」と、自分の身体を少しねぎらってあげてください。
参考文献
Iwasaki M, Morito Y, Watanabe K, et al. Estimating psychophysiological loads by repeated temperature steps on humans using a state–space model. PLOS ONE. 2025;20(11):e0335545. doi:10.1371/journal.pone.0335545
Brown HA, Topham TH, Clark B, et al. Seasonal Heat Acclimatisation in Healthy Adults: A Systematic Review. Sports Medicine. 2022;52:2111–2128. doi:10.1007/s40279-022-01677-0
写真は長野で撮ったひまわり。
